essay:
Tokyo Residence 1


論考:
東京レジデンス 1



This essay was written for the project “T - Residence
この論考はプロジェクト「T邸」で書き起こしたものです。
The idea of a “Tokyo Apartment” is typically known to be units too small for most western standards but appealing as cozy spaces for locals, where as “high-rise Residence” is a modern take on the Tokyo Apartment to present a new style. Therefore, the project was titled “Tokyo Residence” – as a marketed development concept. The notion of height being the ultimate driver of apartments value is challenged through personalization.

Through relaxation of regulations in 1997 the high-rise residence was introduced and did not take long until it was mass produced in Japan. However, the spatial design has not seen to change for 10 years ago and it has not kept up with the trends nor the times.  Therefore, it is expected that the interior of most residence will be outdated in masses very soon and it becomes more important to think about renovating old apartments to provide a contemporary home through personalization. By emphasizing on the value of personalization, we can drive not only old apartments to rethink its value but also new apartments.

As a result, this particular project looks at “Re-ceiling” to provide an alternative to high driven value of apartments. A way in which the pure ceiling that connects external with the internal becomes a versatile response to the issue.

In the near future, how are we to protect the quality of spaces for residents as developers commercialize these types of dwellings. As architects we should be mindful of the issues that may take place.
日本では多くの場合アパートの改修は築30〜50年前後の物件が対象で、今ではその行為自体をリノベーションと呼んでいる。これは本来の用途や機能の変更という意味で使われているのではなく、古くなったものを改修することで付加価値をつけて再利用するという意味で浸透しているのだろう。また、“Tokyo Apartment”とは多くの場合東京における狭小居住空間を指し、欧米人には信じられないほどの小さな空間にとても豊かな居住域を形成をしていることが魅力的と捉えられている。それに対し、タワーマンションは近代都市の象徴とも言え、今では“Tokyo Apartment”の新しいカタチと言えるほど東京らしさを表していると感じている。ここではその新しいカタチのことを“Tokyo Residence”(パッケージ化された不動産商品)と名付けた。高いところに住むことだけが目的になってしまっている“タワーに住む”という行為に対して、パーソナライズしていくことでその価値を飛躍させる。リノベーションの進化系としての“パーソナライゼーション”の重要性について考えてみた。

日本では容積緩和などの建築基準法が改正された22年ほど前からタワーマンションが登場し、1997年ごろから都心に次々と建設され始めた。しかしながらその当時のトレンドでデザインされてきた内部空間は、10年以上経過した時点で時代の変化に対応できない。今後これらのタワーマンションの中身だけが衰退していくスピードはどんどん加速していくだろう。

つまり、このようなタワーマンションにおける“パーソナライゼーション”という行為の需要が今後増えていくのは明らかである。これまでのように築数十年経過したアパートだけが改修の対象ではなく、これからはこのような新築のレジデンスですら改修してその良さを飛躍させていくことがとても重要になってくると考えている。

そして、その一つの答えとして今回は  “Re-ceiling”を提案した。タワーマンションが上へ上へと天に向かって上昇していく居住空間だという事実を前提として考えると、ピュアな天井面を外部空間と内部空間の接続装置としてインストールすることは汎用性のある一つの回答だと考えている。

近い将来、このような匿名性の強い空間を商品とする不動産ビジネスがさらに展開していく中で、私たちは住人(消費者)のライフクオリティをどのように守っていくことができるのか。これは住み手にとってとても大事な権利であるとともに、私たち建築家が寄り添って解決すべき問題だと捉えている。